アフターコロナの働き方
新型コロナウィルス感染症の影響により、未来の出来事として思われていたテレワーク、リモートワークが急速に普及し、働き方は大きく変わった。そして2021年7月現在、日本を含む世界各国で国民のワクチン接種が進み、コロナウィルスの猛威はようやく収束に近づいているように思われる。
果たして、コロナ禍で急激に変化した「ニューノーマル」な働き方は、コロナウィルスパンデミックが収束した後(アフターコロナ)も定着、発展していくのだろうか。BCP対策としてのテレワーク普及
まず押さえておきたいのは、コロナ禍で普及した在宅勤務としてのテレワークは緊急時のBCP(事業継続計画)対策としてのテレワークであって、時間や場所にとらわれない多様な働き方を従業員が選択できる「働き方改革」とは異なるものである、ということだ。
しかし、BCP対策としてとはいえ、コロナウィルスによる社会情勢の大きな変化はテレワーク普及の推進力となった。多くの企業が、設備投資やルールの整備、テレワークのための環境整備を行った。必要に迫られた結果、「働き方改革」としてのテレワーク普及実現の下地が急速に整えられていったのである。オフィスへの回帰の可能性
ここで考えておきたいのが、企業のオフィスへの回帰の可能性である。リアルでのコミュニケーションや形成されたコミュニティが生み出すイノベーションの創出効果、組織に対する愛着、帰属意識の醸成は、オンラインでは未だ代替できていない。
現に、グーグルやアマゾン・ドット・コムはコロナ禍においてもオフィス戦略を推し進め、オフィスの増床を続けている。日本生産性本部が行った調査(https://www.jpc-net.jp/research/detail/005218.html)によると、日本企業のテレワーク実施率は2020年5月の31.5%に対して2021年4月は19.2%と一年で大きく下落しており、アフターコロナの企業のオフィスへの回帰は必然的なものとなるだろう。テレワークは定着しないのか
では、アフターコロナは企業のオフィス回帰によりコロナ前の働き方に戻るのだろうかというと、そうとも言えない。テレワークは意味のない会議など、不要不急、非効率な仕事をあぶり出した。同じく日本生産性本部が行った調査(https://www.jpc-net.jp/research/detail/005218.html)で労働者の76%超がコロナ収束後もテレワークを希望しているという結果も出ている。
アフターコロナの働き方、「ハイブリッドワーク」
そんな中、マイクロソフトやアップルなど名だたる企業が「ハイブリッドワーク」を打ち出している。「ハイブリッドワーク」とは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方だ。「週3日はオフィスワーク、週2日はテレワーク」のように最低限の出社日数を定め、従業員が選択できるようにする仕組みであり、オフィスワークとテレワークのいいとこ取りを目指したカタチである。
結論として、アフターコロナはオフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が主流となるのではないだろうか。私たちは、アフターコロナの「ニューノーマル」に向けて、今から働き方改革の準備しておく必要があるかもしれない。